ソホロリピッドについて
ソホロリピッドとは
植物油と糖を原料として非病原性の酵母Starmerella bombicolaが作り出す、人にも環境にも優しいバイオサーファクタント(微生物が生産する界面活性剤)です。和名ではソホロ脂質といわれます。脂肪酸にソホロース(グルコース2個をβ 1 ・2結合した2糖)がエーテル結合した構造をしており、化学合成法で作る事は経済的に難しく、新しい可能性を秘めた天然界面活性剤です。
ソホロリピッドの化学構造
当社ソホロリピッドの特徴
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100%自然由来、GMO-free
当社のソホロリピッドには、原料となる植物油、糖、そして酵母において、遺伝子組み換え生物(GMO)由来の成分は含まれておりません。また、化学修飾等は施さず、自然の構造・組成比で製品化しております。
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優れた界面活性
ソホロリピッドは低濃度でも優れた界面活性を示します。これはラウリン酸ソーダ(石鹸)の1/50~1/200、一般的な合成界面活性剤、ドデシル硫酸ソーダ(SDS)の1/20~1/5のCMC(臨界ミセル濃度)で、バルキーな分子構造に起因するものと考えられています。
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高い生分解性
ソホロリピッドは高い生分解性を有していることから、従来の合成界面活性剤に比べ環境にやさしい製品です。微生物により、水と二酸化炭素に完全に分解され自然に還ります。10日以内でJIS及び食品衛生法に規格化されている洗剤の生分解度規定(90%以上)をクリアしました。
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低い起泡性
ソホロリピッドは、石鹸(ラウリン酸ソーダ)や歯磨き粉(ドデシル硫酸ナトリウム)などと比較して起泡性が 1/10程度と低いため、泡切れが良く、すすぎ性に優れています。皮膚や衣類への残留も少ないため、皮膚刺激性が低い特徴があります。
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バイオフィルムの形成阻害
ソホロリピッドは、細菌を死滅させることなく、細菌が形成する微生物集団(バイオフィルム)を除去することができます。バイオフィルム内部の凝集性を弱めながら剥離させるため、耐性菌の出現を抑制することが可能となります。
Nguyen, B.V.G., T. Nagakubo, M. Toyofuku, N. Nomura, A.S. Utada,
Synergy
between Sophorolipid Biosurfactant and SDS increases efficiency of
P. aeruginosa biofilm,
disruption. Langmuir, 2020 Apr,
doi: 10.1021/acs.langmuir.0c00643
当社ソホロリピッドの
用途開発
環境負荷の低いバイオサーファクタントは地球にも人にもやさしい成分です
ソホロリピッドは、環境負荷や身体へのリスクも低く、少量でも高い効果が得られると言った特徴的な性質を持ち、幅広い用途開発が可能です。現在、当社では、畜産事業(ロック化学製品と共同開発)やパーソナルケア事業( BASF と共同開発)に注力しており、中長期の用途開発研究も多様なパートナーと進行中です。
畜産事業
家畜飼料添加物安定剤
- ・乳化剤
-
高い乳化作用による飼料効率の改善
(油脂、栄養成分、脂溶性色素) -
抗菌作用による疾病予防
パーソナルケア事業
洗浄剤
- ・乳化剤
- ・シャンプー
- ・マウスウォッシュ
- ・歯磨き粉
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高い洗浄力
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バイオフィルム除去・抑制効果
(におい、フケ、雑菌抑制)
パーソナルケア事業
化粧品
- ・乳化剤
- ・保湿剤
- ・浸透助剤
-
肌への低刺激性
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バイオフィルム除去・抑制効果
(肌を清潔に保持)
その他事業
衣類用洗剤
- ・家庭用衣類洗剤
-
高い洗浄力
-
低起泡性(すすぎ易く、衣類残留が少ない)
-
化学的ダメージが低い(フィルタ長持ち)
その他事業
産業用洗剤
- ・排水処理フィルタ洗浄
-
バイオフィルム除去・抑制効果
-
高い生分解性
-
化学的ダメージが低い(フィルタ長持ち)